君のいない世界はこんなにも暗かったのか。





悲しきピエロと一つの嘘







 >ディーノSide



 が行方不明になってから二年が過ぎた。



 いなくなった直後はどこかの組織に誘拐されたとばかり思っていた。何しろ、”キャバッローネファミリー十代目”であるディーノの花嫁だ。使い道はいくらでもある。
 しかし、同盟ファミリーであるボンゴレと協力して懸命に捜索したにも関わらず、を見つけることが出来なかった。

 翌日、ディーノ宛に手紙が届いた。
 そこにはあまり綺麗とは言い難いイタリア語が並んでいた。


 Io sono spiacente.
 Io l'amo.


 それは紛れでもない、彼女の字。

 ――彼女が無事でよかった。ああ、自分は振られたのか――

 どこから湧いたのか、背後に恭弥が立っていた。ディーノが呼んでいた手紙を奪うようにして手に取ると、眉間に皺を寄せて言った。



「まさか本気にしてないよね」



 ソファに座るように促すが、無視だ。



「本気って何がだ?」
「この手紙のこと」
「ああ、俺が振られたって話か……あいつが無事でよかったなあ」



 本当に良かった。結婚から逃げられたのはショックだったが、何よりも彼女の無事が嬉しい。



「なぁ、恭弥もそう思うだろ」


 
 ははは……と無気力に笑うと、恭弥がトンファーで襲いかかってきた。
 咄嗟に手で顔を庇うが恭弥のスピードのほうが速かった。
 思い切り頬を打たれ、



「あんた、本当に姉さんのことが好きなの」
「なっ……」



 髪を引っ張られ、見つめ合う形になる。とよく似た、その顔に胸が締め付けられる。



のこと好きなら分かるよね、これ」



 さっきの手紙を顔面に押しつけられた。
 やっと解放された髪を撫でながら文面を見つめる。そこには先ほどと同じ文字しかない。それでも恭弥の言う”意味”が知りたかった。
 ジッと紙の端から端まで眺め、違和感を感じたそこに手を這わす。何かで濡れた痕のような――そこでやっと分かった。



「泣いて書いたのか」
「そうだよ。あの姉さんが泣いた。この意味が分かる?」



 目の前の恭弥とよく似た、どこか意地っ張りなところがある。彼女が泣いたところなんて正式にプロポーズした時と、情事の時しかない。いや、情事は今は関係ないな。



が泣くほどの、理由があったんだな」
「ワオ。意外と姉さんのこと理解してるんだね」
「当たり前だろ。俺はあいつの旦那だからな」
「まだ籍は入れてない。じゃあ、どうすればいいかもわかるんだね」



 ソファに座りなおし、窓の外の沈みゆく太陽を見つめディーノは重々しく口を開いた。



「待つさ。の心が決まるまで」
「ふん。好きにすればいい」








 この会話からも、もう二年。
 彼女のいない二年間はとても辛かった。あんなに鮮やかだった世界が急に色を失ったように、どこか仄暗い世界を生きてきた。
 いつまでも待つ、と決心はしているものの、ディーノの心もいつまで持つか分からなかった。まだ二年。いつまで待てばいいのだろう。


 ある日、雲雀らしき人物がジャッポーネで目撃されたとの情報が入った。
 有り得ないと思いながらも、彼女の双子の弟である恭弥と共に、ディーノはジャッポーネへと足を運んだ。
 待つと誓ったものの、ディーノの心は彼女を求めているのだ。


 と出会った並盛町。
 そこは変わらず平凡な町だった。けれど、彼女はそこが好きなのだと語っていたっけ。
 恭弥は並盛につくとすぐに何処かへ消えてしまった。恐らく事前に連絡を取っておいた風紀財団のアジトへ向かったのだろう。

 ディーノは公園に面している歩道を歩いていた。ここで初めてに会ったのだ。
 彼女の第一印象は”ヤマトナデシコ”だった。
 ぶつかって転んだディーノに声をかけて、手当てまでしてくれた。
 今思えばその時から惹かれていたのかもしれない。


 そんなことを考えながら歩いていると、がよく通っていた本屋に辿り着いた。
 はよく本を読んでいたな。ディーノはジャッポーネの言葉を話せはするが読むのは苦手だから知らないが、小難しい本が多かった気がする。
 しかし雑食で、漫画なんかも持っていた。それはよくディーノも借りていた。

 なんだか懐かしくなって、いるわけないと思いながらも店内に足を運んだ。



「やあ、でぃいのさんお久しぶりですねえ」



 に連れ立ってよく来ていたのを覚えていたのか、お年を召した店長に声をかけられた。



「こんにちわ」
「いやあ、相変わらずいい男ぶりですなあ。ちゃんもよくこんな男前を捕まえたもんだ」



 ……。本当に、ジャッポーネにいればいいのに。



ちゃんを捜してるんですかい?」
「え、なんでそのことを」
「はっはっは、でぃいのさんのその顔を見てれば分かりますよ。喧嘩でもしたんですか?」
「喧嘩ならいいんだけどな……」



 理由がさっぱり分からないとは言えない。



「嘘ですよ。まあ、本当に喧嘩したんならさっさと謝ることをお勧めしますねえ。ちゃんならすぐ許してくれますって」
「……ああ」



 だんだん落ち込んでいくディーノに気付くことなく、店長は続ける。



「ほら、ちゃんなら並盛商店街のかふぇに行くと言うとりましたがな」
「そうか……」



 並盛商店街のカフェ…………ってなに!?



に会ったのか!」



 思わず店長の肩を掴む。
 ディーノの剣幕にも動揺することなく、のほのほ笑う店長。



「さっき出ていったところですからねえ。まだかふぇにいるんじゃないですかな」
「そうか! ありがとう!!」



 やはり目撃情報は合っていたみたいだ。携帯で恭弥に連絡を入れながらカフェに向かう。
 この二年感じていなかった、胸の高鳴りが心地よかった。





2年後に再会

ディノ22歳 主人公14歳 8歳
ディノ26歳 主人公18歳
28・20
30・22

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エキサイト翻訳さんちょー便利っす!
日本語だと、
「ごめんなさい。
 愛してます。」
になります。たぶんね!
2011.02.17

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