【副作用があることお忘れですか】






 フリルのついた桃色のワンピースの似合う女の子。
 同い年の僕らは毎日二人で遊んでいた。
 今日はお祖父ちゃんの研究所でポケモン図鑑を見ていたんだ。

「ねえねえ、ぐりーんくん」
「なあに? れっどちゃん」

 次のページを捲ろうとした手を止めてれっどちゃんが言った。
 れっどちゃんは可愛くて頭が良くて。 でも僕は頑張るんだ。 大きくなったら二人で旅に出る約束をしたんだもん!

「ぐりーんくんはおおきくなったらだれとけっこんするの?」
「けっこんってなに?」

 れっどちゃんは頭が良いから僕の知らない言葉をたくさん知ってる。 けっこんって何だろう?
 僕が質問すると、れっどちゃんは
「しつもんをしつもんでかえしたらいけないんだよ」って怒った。
 でもごめんなさいすると許してくれるんだよ。優しいね。

「けっこんはね、だいすきなひとといっしょにいることなんだよ」
「だいすきなひと」

 繰り返すとれっどちゃんはにっこりと笑った。僕はその笑顔が大好きで、だから大好きな人はれっどちゃんなんだ。

「ぼく、れっどちゃんとけっこんする」

 れっどちゃんはびっくりしたみたいだけど、すぐにまた笑った。


「わたしもぐりーんくんとけっこんしてあげる。どーねんだいはぐりーんくんしかいないもの。それにぐりーんくんははかせのまごだからすごいひとになるよね。ぐりーんくんのパパもかっこいいし、ぐりーんくんもかっこよくなるよ」
「えへへ」

 れっどちゃんの話は難しくてよくわからないけど、
「けっこんしてくれる、すごいひとになる、かっこいい」と言われて嬉しかった。
 僕は小指を向けた。
 れっどちゃんも同じようにして、僕の小指に絡めてくれる。
 れっどちゃんが軽く指を振りながら言った。


「おおきくなったらけっこんしようね」
「うん!」

 その時の笑顔は、大きくなってもずっと忘れないと思った。




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