●漫画が好き。
 ●アニメが好き。
 ●ゲームが好き。
 ●キャラ萌え。

 以上の三点から分かるように、わたしは所謂腐女子というやつだ。
 だから、どう、ってわけでもない。
 ただ人生を過ごす上で萌というスパイスを加えているだけ。

 恋だって、した(初恋で、しかも諦めたけど)。
 付き合ったことだって、ある(わたしが漫画好きだって知らない人)。

 この二つの経験はわたしを更に腐女子にしたのだけれど。
 それでもわたしは幸せだ。
 友達もいるし、家族もソッチには寛容なのだ。
 突然だが、わたしは今リアルに好きな人がいない。
 マイブームのアニメで大好きなキャラにはトキメキまくってるけどね。
 (すっごいクールなの。でも、偶に照れた表情を見せるのが最高!)

 さっきも言ったけど、わたしは今、リアルには好きな人がいない。
 でもね、だからって。



「好き」って言われても。







 別に困らないけど。寧ろ嬉しいけど。
 噂で聞けば、確かに君はわたしのもろ好みなのよ。
 実際、今ハマッてるキャラだってそーゆー系統の人だし。
 でもね。わたし、今まで好きだった人だって、付き合った相手だって、全然違うタイプの人だったもの。
 ココまでピッタリな人っていなかったの!

 あるていど自分の容姿も把握しているし、それなりに見かけにも気を使ったりしてる。
 まぁ、腹黒ってことは隠してないですけど。


 ちなみに、今わたしは告白されてます(シチュエーションから分かると思うけど)。
 普通なら興味ないですからッって、断ってるのだけど。
 でも今回は相手が相手だから(好みがドッキューンみたいな)。
 ……しかも、最近この人見て妄想してたのよぅ。



 もう、あたふたするしかないわたし。
 それに比べて彼は物凄く落ち着いている。何故だ。
 告白する時って緊張とかしないの?!



「・・・・・・先輩、落ち着いてください」



 情けないぞ、自分。



「う、……うん……」
「別に返事とか要りませんから。最初からそれは期待してませんし。そもそも、先輩は俺のこと、良く知らないでしょう?」
「いや、知ってるけど……」



 知ってるけど……そこまでは。と、言おうとして、やめた。
 だって、おかしくない? じゃあ、何でわたしに告白してきたんだろう。
 ……わたしのこと、好きなんだよね……?
 もしかして何かの罰ゲームとか?
 ヤバ。だんだん腹立ってきた。



「あのさ、一つ聞いて良いかな?」
「どうぞ」
「えっと。日吉君はわたしのこと好きなんだよね?だから告白したんでしょ?」
「俺は好きでもない人に告白したりなんかしません」



 うわお、即答。



「だったら良いけど。なら、何が目的でわたしに告白したの? 返事とか期待してないって言ってたけど……」



 ただ疑問をぶつけただけなのに、何故か日吉君は一瞬顔を歪めた。
 そして額に手を置き、溜息を吐く。
 おい。わたしに失礼だぞ。



「ただ、俺の気持ちを知ってもらいたかっただけですから。先輩は……俺とかに興味ないんでしょう? だから今日はとりあえず知ってもらうことから始めたかったんです」
「俺とかに興味ないって……どういう意味よ。何か、含みが有る言い方だけど」
「その言葉のままです。忍足先輩から聞きました。先輩は漫画とかのキャラが好きなんでしょう?」



 忍足の奴……・。
 何を日吉君に吹き込んだのか知らないけど。あとで覚えてろよ。
 実は、以前とあるイベント会場で忍足とばったり出会ってしまった。お互いの秘密を知ってしまったのだ。
 確かにキャラに憧れたり、崇拝したりする。
 たまーにかなり好きだ! ってのに出会ったときには……かなりコワレたなぁ(遠い目)。
 でも、だからって、断じてリアルの人に恋が出来ないってわけじゃあない!
 そこんとこ、誤解してるから。



「別に、わたしは確かに漫画好きだしキャラも好き。結婚したい! って思ったりするときもあるけど、それはあくまでも漫画は漫画。人を好きになれないわけじゃないから。そこんとこ、誤解してるよ日吉君」



 びしっと言ってやりました。
 すると日吉君は空に視線を泳がせ、数十秒してからわたしと目を合わせた。
 うわー、良い目するなぁ。



「そうですか」
「って、それだけかよ」



 あまりに感想が無いもんだから、思わず突っ込んでしまった。



「別に問題無いです。俺の計画が少し早まっただけで」
「け、計画?」
「はい。計画です。先輩が今はキャラにしか目がいってないものだと思っていましたから。でも、そうでもないようなので、どちらかと言えば良い返事ですね」



 良く話が理解出来ないのですが。

 頭にクエスチョンマークを浮かべているのが分かったのか、日吉君はふ、と口を吊り上げて言った。



「俺が、貴女を落とす計画です」
「…………は?」
「あ、もう予鈴なりますね。では、失礼します先輩」



 言うと直ぐわたしに背を向け、校舎の方に歩いていった。
 数秒、確実にわたしの中の時が止まったと思う。
 『俺が、貴女を落とす計画です』
 さっきの言葉がリピートされ続け、その状態は予鈴が鳴るまで続いた。

 そして思い浮かぶのが先程の言葉を言う前の、日吉君の憎たらしいほどに挑戦的な笑顔。



 ヤバイ。惚れてしまった。



…………だって、ようするに、漫画とかキャラ大好きってのを踏まえてわたしに告白してきたんだよ?







おまけ。
次の日、忍足は学校に来なかった。












前のサイトにアップしていたテニプリ若夢。
なんとなく、ノリが気に入っていたのでアップしてみました。

忍足が次の日来なかったのは、主人公の報復を恐れたのか。
それとも前の日に報復されて来れなかったのか。

この日吉君は微妙に策士です。